トヨタグループ7社の通期見通し、デンソー・豊田織機が下方修正
トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社のうち、デンソーと豊田自動織機の2社は2020年3月期通期業績予想の全利益項目を下方修正した。残る5社も愛知製鋼を除く4社が通期の各利益段階で減益を見通す。中国や東南アジアなどの市場減速を受け、自動車部品業界の苦境が続く。中国で発生した新型肺炎の影響も未知数で、業績回復への道筋に不透明感が漂う。
デンソーは売上高と全利益予想のほか、設備投資を前回計画比100億円減の4200億円に下方修正した。電動車など向けの先行開発投資の増加や為替差損が利益を圧迫。松井靖経営役員は「電動化や自動運転向けの新製品でトップラインを伸ばし、利益を上乗せする」と来期の反転攻勢に意欲を示した。
豊田自動織機は産業車両の販売が日本や中国で減少したほか、カーエアコン用コンプレッサーが北米や欧州で落ち込んだことが響いた。愛知製鋼は通期の売上高予想を下方修正したものの、原材料費減などで利益予想を据え置いた。
中国での自動変速機の大幅な販売減に苦しむアイシン精機は「(中国の)受注は少しずつ回復しており、底打ち感が出ている」とした。ジェイテクトと豊田合成は通期予想を据え置いたが、全利益項目で2ケタの減益を見込む。
一方、トヨタ紡織は業務効率化による固定費の削減などが追い風となり、売上高と営業・税引き前利益を上方修正した。
電動化など新技術への開発投資がかさむ中、固定費の抑制など収益改善の進展が来期の業績回復の明暗を分けそうだ。