工作機械7社、上期受注2.1倍 世界で経済活動再開
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の4―9月期の工作機械受注実績は、前年同期比2・1倍の2305億1900万円だった。前年同期は新型コロナウイルス感染症の影響があったことに加え、その後の世界的な経済活動の再開に伴って中国需要の拡大とともに欧米や日本でも回復が進んだ。
10月以降の下期も受注環境はおおむね堅調に推移する見通しだが、部品・部材不足の早期解消が見込めないことから受注活動への影響が懸念される。
牧野フライス製作所は、輸出が4―9月期として過去最高を更新した。中国での電子機器や電動車向けの需要増加に加え、米国でも半導体製造装置や自動車、医療機器向けが増えた。下期も「上期ほどの高水準とはいかないまでも、前年比増加傾向を維持する」見通しだ。
オークマは19年4―9月期と比べて約1割増となり、コロナ禍前の水準を回復した。9月単月も堅調に推移しており、国内は半導体製造装置向けが引き続き好調なほか、「ロボット向け減速機などほかの業種にも広がってきた」という。
また、芝浦機械とツガミ、日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)は、総額、国内、輸出の全項目で2倍以上に伸びた。特に中国市場が強みのツガミは半期として過去最高を更新。中国需要は足元で落ち着いてきたものの「今後も順調に推移する」とみる。
工作機械の需要自体は10月以降も良好に推移するとみられる一方、部品・部材不足の影響は徐々に広がっている。大手工作機械メーカーの担当者は「部品の調達納期が長引き、機械の納期も延びている。今後も続けば、失注につながるリスクもある」と話す。