昨年の工作機械主要7社受注、29%減 「米中」余波広がる
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の2019年の工作機械受注実績は、前年比29・6%減の3693億6600万円となり3年ぶりに減少した。年内に月次ベースで底打ちが期待されたが、米中貿易摩擦の余波が中国にとどまらず、米国、欧州、日本へと広がった。20年は半導体向けの本格化と自動車向けの回復時期が焦点になる。
7社の19年7―12月は同年1―6月比23・1%減と「月を追うごとに悪化した」(牧野フライス製作所IR課)。
各社の19年7―12月は同年1―6月比で、牧野フが28・6%減、オークマが21・7%減、OKKが38・9%減など低迷した。牧野フは米ボーイングの旅客機「737MAX」の出荷・生産停止の影響が加わった。同社米国は同25%減だった。OKKは「半導体や自動車関連の受注が減少」(総務人事部)で低調だ。
中国は調整局面だが足元は「横ばい基調になってきた」(オークママーケティング室)と落ち着いてきた。現地で高いシェアを持つツガミは同15・3%減にとどめた。東芝機械は19年暦年で輸出が増加。「中国・台湾の光学向けの精密加工機が堅調に推移した」(総務部)上、産業機械と建設機械向けの需要を取り込んだ。
国内は、18年に好調だった半導体やロボット向けなどもはく落。「顧客に設備投資意欲はあるが、それを許す環境になかった」(飯村幸生日工会会長)と、先行きの不透明感から手控えが強まった。それでも三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)は、19年12月に最終決定が遅れていた航空機向けの大口商談をまとめた。
20年の市場予想は日本工作機械工業会(日工会)が年間受注高を19年から微減の1兆2000億円とした。オークマは19年12月に国内で半導体製造装置向けの受注もあり、「20年をけん引する分野」(マーケティング室)と分析。自動車向けはジェイテクトが「20年前半は堅調」(広報部)とみる。
米中関係は世界で設備投資の様子見を引き起こしている。両国が歩み寄れば、19年が停滞した分、投資の大きな流れが生まれそうだ。