工作機械7社、昨年受注31%減 12月は25カ月ぶりプラス
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の2020年(暦年)の工作機械受注実績は、前年比31・1%減の2545億500万円となり、2年連続の減少となった。米中貿易摩擦の継続に、年初からの新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、各地域で設備投資が低迷。ただ年央以降、受注環境は中国を中心に持ち直しており、21年は日本や欧米の需要回復の度合いが注目される。
全社が減少となる中、ツガミは唯一輸出が増加し、総額も微減にとどめた。高いシェアを持つ中国で「自動車を中心にほとんどの業種で受注が伸びた」ほか、インドも4輪車、2輪車向けに需要が回復しているという。
牧野フライス製作所は、中国が1―3月期を底に受注が回復したのをはじめ、日米欧も「期を追うごとに徐々に戻ってきたが、回復が弱かった」ことで、10年ぶりに400億円台に落ち込んだ。
オークマも800億円台で10年ぶりの低水準。「コロナ禍で需要が見通せない中、ウェブ会議や展示会などを活用し、なんとか踏みとどまった印象」だ。
21年の見通しは「北米は21年度の設備投資に期待している」など、中国以外の地域を含めておおむね緩やかな回復を見込む声が多い。大手工作機械メーカー首脳は「これまで続いた調整期から今は回復期へ入っている」と現状を捉える。一方、「国内は依然低調で、海外、特に中国頼みの感が強い」との見方もある。
20年12月単月の受注額は前年同月比7・3%増の271億9500万円となり、単月ベースでは25カ月ぶりの増加に転じた。OKKと三菱重工工作機械は輸出が大幅に増加した。三菱重工工機はインドでの4輪車向け歯車工作機械の大口受注が寄与した。