乗用車7社の通期見通し、4社が営業益上方修正 2社据え置き
乗用車メーカー7社の2021年4―12月期連結決算が出そろい、ホンダや日産自動車など4社が22年3月期連結業績予想で営業利益または営業損益を上方修正した。販売奨励金の抑制や為替の円安の追い風と、半導体不足に伴う生産制約や原材料の高騰といった逆風が吹く事業環境は各社に共通する。これらプラスとマイナスの要因をどう見積もるかで予想が分かれる形となり、世界生産見通しを引き下げたトヨタ自動車など2社は営業利益を据え置いた。
マツダは通期の営業利益見通しを従来予想比170億円引き上げた。毛籠勝弘取締役専務執行役員は損益分岐点の低下など「経営基盤の強化が着実に進んだ」と評価した。
北米事業の改善などでホンダも営業利益を同1400億円上方修正。販売奨励金が北米で21年10月以降、通常の半分の1000ドル(約12万円)からさらに10%強減少する。日産や三菱自動車は営業損益をそれぞれ同300億円、同100億円引き上げた。
トヨタは販売増などで21年4―12月期の営業利益が過去最高を更新。通期の営業利益見通しの9割以上に達するが従来予想を据え置いた。要因は新型コロナウイルス感染拡大や部品調達の停滞。生産台数見通しを従来予想比50万台引き下げた影響で販売台数の減少を織り込む。
SUBARU(スバル)も生産制約による販売減で、営業利益見通しの下方修正を余儀なくされた。
一方、スズキは生産台数見通しを従来予想比約24万台、三菱自は販売見通しを約2万台上方修正した。スズキはインドで生産する輸出車両を中心に半導体不足の影響を受けない車種が多く「台数をキープできた」という。
足元では燃料や原材料価格の高騰が、各社の業績を圧迫する。トヨタは資材の高騰が通期で営業利益を6300億円下げると見込み、「過去に例がないレベル」(同社担当者)と身構える。