乗用車7社の4―6月期、全社増収 5社営業黒字転換
乗用車7社の2021年4―6月期連結決算が出そろい、トヨタ自動車など全社が増収、ホンダなど5社の営業損益が黒字に転換した。新車販売は新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ前年同期と比べ米国などで回復。収益体質の強化も利益を押し上げた。22年3月期の業績見通しは日産自動車など3社が上方修正したが、半導体不足に伴う生産への影響など先行き不透明として3社が据え置いた。
北米市場は4―6月期の販売台数がトヨタは前年同期比2・3倍、ホンダが同2・2倍、日産やマツダが同70%増と大幅に伸びた。
半導体不足に伴う生産制約で在庫が逼迫(ひっぱく)し新車販売が一部滞った。中古車の市場価格が上がり、リースバックした車両の再販価格も上昇し販売金融事業の収益性が高まった。
日産は新型車の投入などで米国の市場シェアを伸ばし、「販売奨励金を抑制した」(アシュワニ・グプタ最高執行責任者〈COO〉)ことも収益改善に寄与した。
半導体不足をめぐっては、トヨタが21年4―6月期にコロナの感染再拡大の影響を含め約10万台の減産を強いられた。22年3月期通期では日産が約25万台、マツダが約10万台の減産影響を見込む。22年3月期の世界販売見通しについてホンダは5月公表値比15万台、SUBARU(スバル)は同4万台それぞれ引き下げた。未定としていた22年3月期業績予想を発表したスズキは、半導体不足による減産影響が約35万台になるとの見通しを明らかにした。
22年3月期の業績予想では、足元の好調な販売や為替の円安などを追い風に、ホンダが営業利益を、日産と三菱自動車は営業損益を上方修正した。一方、トヨタやマツダは半導体不足や資材価格の高騰などの影響が不透明として従来見通しを据え置いた。スズキは車の電動化を中心に開発を加速するため、研究開発費の見通しを前期比438億円積みましたことなどで営業減益を見込む。