工作機械7社、4月受注99%増の363億円 欧米・日本にも回復波及
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の4月の受注実績は、前年同月比99・1%増の363億4000万円で、5カ月連続の増加となった。中国が引き続き好調だったことに加え、欧米や日本でも設備投資回復の動きが波及。4月単月としては新型コロナウイルス感染症発生前の2019年4月(321億1600万円)を上回り、コロナ禍からの順調な回復ぶりを示している。(総合1参照)
総額は全社が前年同月比で増加した。前年同月は新型コロナの影響で受注が下落したこともあり、三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)などは大幅な増加率となった。また、期末で受注が高まる3月と比べてもジェイテクトとOKKを除く5社が増加となった。
牧野フライス製作所は2カ月連続で50億円を上回り、19年8月に次ぐ水準。台湾、韓国の半導体製造装置関連向けに受注が伸びたほか、米国も「想定よりも進捗(しんちょく)は良い」(業務部IR課)という。
オークマは中国で自動車関連向け金型や風力発電向けに受注が増加し、欧米も順調に伸長。米国は「ワクチン接種が進んで営業活動ができるようになり、今後は自動車関連も伸びる」(マーケティング室)と期待する。
三菱重工工機は中国で門型機械の大口受注獲得などにより、受注が好調だった18年度の単月平均(約35億円)と同水準となった。ツガミは強みの中国に加え、欧米、日本も好調で、単月の過去最高額を更新。「中国の好調はまだ続きそう」(ツガミ幹部)とみる。芝浦機械は中国での産業機械やスマートフォン向けの受注に加え、米国でもエネルギーやインフラ関係向けに受注した。
外需が順調に回復を続ける中、今後は内需の押し上げがどれだけ進むかが注目される。中小企業では「ものづくり補助金」の採択待ちによる設備投資控えもうかがえる。メーカーからは「国内の潜在的な設備投資意欲はあるので、今後もう一伸びしてほしい」(オークマのマーケティング室)との声も挙がる。