乗用車7社の通期見通し、コロナ禍で6社未定
乗用車7社の2021年3月期連結業績予想は、見通しの算出が困難として、6社が未定とした。唯一、売上高と営業利益を公表したトヨタ自動車でも、営業利益は前期比約8割減を想定する。新型コロナの影響がどこまで及ぶのか。21年3月期は全社が苦戦を強いられそうだ。
通期業績予想の算定が困難を極める中、日産自動車は未定としながらも、世界販売の全体需要を前期比15―20%減とみる。トヨタの豊田章男社長はオンラインの決算会見で「リーマンよりも販売台数は落ち込むが今期は黒字が確保できる」と強調。4月のトヨタ単独の世界販売台数は、前年同月比46・3%減の42万3302台と半減したが、この4月を底に年末から年始にかけて前年並みに回復すると見込む。
20年3月期連結決算は6社が営業減益で、そのうち2社が当期損益が赤字に転落した。日産はリーマン・ショックの影響を受けた09年3月期以来の赤字。三菱自動車も燃費不正が発覚した17年3月期以来の赤字となった。米中貿易摩擦や円高など各社が苦戦する中、新型コロナが直撃。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応など将来の研究開発投資の負担も大きく、収益が悪化した。
日産は北米や欧州で販売が低迷する中、新型コロナが業績落ち込みに拍車をかけた。構造改革費と減損損失で6030億円を計上するなど赤字幅は00年3月期の6844億円に迫る水準。日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)はオンラインの決算会見で「経営責任を重く受けとめている」とし、役員報酬の減額を表明した。
三菱自も米中や豪州の販売不振で世界販売を落とした上、円高による為替差損が響いた。マツダも新型車の販売戦略が停滞する。スズキは主力のインド市場が苦戦し、販売台数を大きく落とした。
北米や欧州の好調を維持したトヨタだったが失速して減収減益。ホンダも中国で新型コロナが直撃し、20年1―3月期の営業損益は赤字に転落したが、通期業績は1割減にとどめた。SUBARU(スバル)は新型コロナの影響は限定的で、リコール費の改善や米国の増販が貢献し唯一、増収増益を達成した。