工作機械受注、7月93%増 2カ月連続1300億円超
日本工作機械工業会(日工会)が発表した7月の工作機械受注額(確報値)は、前年同月比93.4%増の1349億8300万円だった。9カ月連続の増加で、2カ月連続で1300億円を上回った。国内外で多様な業種で設備投資の動きが広がる中、内需は補助金採択で受注が底上げされた。外需も主要3地域で増加し、高水準を持続している。
内需は5カ月連続の増加で、2019年9月以来22カ月ぶりの450億円超え。一般機械や自動車など主要4業種はいずれも前年同月比増となった一方、前月比では自動車が2カ月ぶりに減少した。事業再構築補助金などの各種政策について、稲葉善治会長(ファナック会長)は「中小企業からの受注増加に一定の効果を発揮したと思われる」とした。
外需は9カ月連続の前年同月比増加となり、5カ月連続で850億円を上回った。欧州は18年10月以来33カ月ぶりの200億円超え。イタリアは自動車関連需要の増加や政府の経済政策により、08年2月以来13年5カ月ぶりに40億円を上回り、ドイツも3カ月連続で35億円超えとなった。北米も3カ月連続で200億円を超え、回復軌道に乗りつつある。
一方でアジアは2カ月連続の450億円割れで、前月比は3カ月連続の減少。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、インドや東南アジアは「一進一退の状況」(稲葉会長)が続いている。中国は自動車関連需要の大幅な増加により、2カ月ぶりに300億円台に回復した。
旺盛な需要を背景に部品・部材不足の影響が広がり始めている。山崎智久副会長(ヤマザキマザック会長)は「半導体などの電子部品やコネクター類、板金部品などの供給が一段とタイトになっている」と現状を話す。
業界では部品の入手難に加えて、コンテナ不足による海上輸送の遅れも発生しているという。今後さらに悪化すれば工作機械の長納期化にもつながりかねず、受注への影響が懸念される。