7月の工作機械受注、8%増 アジア、高水準を維持
日本工作機械工業会(日工会)が発表した7月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比8・4%増の1239億4200万円と、3カ月連続で増加した。中国などのアジアで高水準を維持するなど、外需がけん引した。地域や業種で状況に差はあるが、日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「第4四半期以降の本格的な増加局面に向けて、一進一退を繰り返しながら地固めが進む転換期にある」との認識を示した。
外需の地域別の受注額では、中国が同65・9%増と4カ月連続で増加。2カ月ぶりに300億円を下回ったものの、300億円近い受注が継続しており高水準を持続している。
中国では旧式機械を下取りし、最新機械への置き換えを促す補助金が下支えとなっているほか、電気自動車(EV)や次世代スマートフォンへの活発投資が持続している。補助金効果の持続性が注目されるが、稲葉会長は「(7月の中国政府の支援強化策の発表などを受けて)この先も長期にわたる下支えが期待される」とした。
北米は、同9・6%増の269億4300万円で2カ月ぶりの増加。米国やメキシコで大型受注があり2カ月ぶりに250億円を上回った。欧州は夏期休暇などもあり、同23・2%減の147億1000万円と7カ月連続で減少した。
内需は同9・3%減の357億300万円で23カ月連続の減少。自動車関連を中心に6月の受注反動減などで、2カ月ぶりに400億円を割り込んだ。稲葉会長は「引き続きまだら模様の状況下で一進一退の動きが続く」と見る。
今後は半導体製造装置や自動車関連で大手企業からの実需を見込む。一方、国内の中堅中小企業では新機種を購入せずに改造・修理を繰り返して古い機械を使うのが一般的となっている。稲葉会長は「競争力のある最新鋭の機種に更新するには政府による政策支援の後押しが不可欠」と強調した。
また1―7月期の受注総額は、前年同期比2・1%減の8640億800万円だった。