機械・工具商社8社の通期見通し、全社増収 自動化・脱炭素関連堅調
機械・工具商社主要8社の2023年3月期連結業績予想は、全社が増収を確保する見通しだ。各社とも生産の自動化や脱炭素化への対応などで求められる商材の提案を加速する。一方で物流停滞やロシア・ウクライナ情勢による原材料や燃料費の高騰などで、先行き不透明な状況が続く。減価償却負担や人件費増などで3社が営業減益を予想するなど、利益面では企業により差が出た。
山善は22年3月期に3年ぶりに売上高5000億円を超え、23年3月期も増収を見込む。国内の生産財事業は「工場の自動化・省人化の高まりや自動車業界などで脱炭素化の開発が加速する」と需要は堅調とみる。ただ、基幹システムなどの投資に伴う償却コストが増え、営業減益と予想する。
椿本興業の23年3月期は食品業界の自動化設備や環境配慮の商材開拓などで売り上げを増やす考えだ。「物流滞留や燃料費高騰などマイナスの影響はあるがカバーできる」とする。
ユアサ商事の23年3月期は全利益項目で過去最高を予想。工作機械の受注残が豊富にあり、販売が伸びる予想だ。国内でコロナ禍の影響が和らぎ「経済活動が活発化する」とみる。
日伝は半導体関連の好調を背景に機械器具の販売が堅調。Cominixは切削工具事業で電気自動車(EV)関連の需要が増えると見込む。
ロシア・ウクライナ情勢について、ユアサ商事では木材輸入や中古建設機械の販売事業で直接影響を受けているのに加え、資源高騰により仕入先からの値上げ要請が強まっているという。他社でも経済活動への影響を注視している。