小型工作機械受注、昨年83%増 コロナ前の水準に回復
日本工作機械工業会(日工会)が発表した2021年の工作機械の受注実績(確報値)は、前年比70・9%増の1兆5414億1900万円で3年ぶりの増加となった。1兆5000億円を上回るのも3年ぶりで、過去4番目の受注額を記録した。中国が先行して回復し、年後半は欧米や国内でも回復傾向が強まった。
内需、外需とも3年ぶりに増加した。外需比率は前年比2・9ポイント増の66・9%と高水準に達したことから、日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「外需主導で回復が進んだ」との認識を示した。
内需は新型コロナウイルスワクチン接種の進展や補助金採択案件の受注押し上げにより、コロナ禍前の19年(4931億8800万円)を上回り、3年ぶりの5000億円超えとなった。
業種別では全11業種で増加。主要4業種では、半導体関連や部品不足に伴う増産対応などで一般機械と電気・精密で回復が進んだ一方、自動車、航空機・造船・輸送用機械は他業種に比べると伸び率は低かった。
外需は3年ぶりに1兆円を上回り、過去2番目の受注額となった。地域別ではアジアが4年ぶりに増加し、過去2番目の受注額を記録。中国と台湾は過去最高額を更新した。欧州は3年ぶりの増加で、設備投資優遇策や展示会効果のあったイタリアをはじめ、ドイツやフランスなども2倍以上の伸び率となった。北米も3年ぶりの増加。特に米国はジョブショップや自動車など幅広い業種で需要が回復し、過去2番目の受注額に達した。
21年12月単月の受注額は前年同月比40・6%増の1392億2700万円で、14カ月連続の増加となった。4カ月ぶりの1400億円割れとなったが、11カ月連続で1000億円を上回った。
外需はアジアが18カ月ぶりに減少へ転じ、前月比もアジア、欧州、北米が減少したが、稲葉会長は「水準は依然高く、ドイツや中国では上向きの動きが見られる」と強調。今後の受注動向について、半導体製造装置関連の投資継続などの動きを踏まえて「第1四半期は総じて緩やかな回復基調が続く」との見通しを示した。