8月の工作機械受注、4カ月ぶり減 3.5%マイナス
日本工作機械工業会(日工会)が発表した8月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比3・5%減の1107億7000万円と、4カ月ぶりに減少した。夏季休暇などの影響を受ける中、欧州で受注が低迷し、内需も振るわなかった。稲葉善治日工会会長(ファナック会長)は「金融市場での大きな変動、欧州経済の先行きへの懸念を受けての様子見感、北米での大型受注の剥落などが重なった」と述べた。
地域別の受注額は欧州が同39・5%減の107億800万円と、8カ月連続で減少。夏場からドイツなどで景気が低迷し、43カ月ぶりに110億円を下回った。業種別では電気自動車(EV)の販売不振が響いた自動車向けが47カ月ぶりに10億円を割り込んだ。
米国は同8・9%減の205億700万円と、2カ月ぶりに減少。北米全体では大型受注の縮小で航空・造船・輸送用機械向けが前月比で半減した。
一方、中国は前年同月比50・1%増の285億3200万円と、5カ月連続で増加した。政府による設備更新や消費財の買い替え促進策、自動車関連の継続的な投資、次世代スマートフォン関連の投資の増加などが寄与したと見られる。
ただ設備投資では自動車関連で個社に差が見られ、半導体関係でも勢いに陰りが出るなど、稲葉会長は「EV関係や(次世代スマホなどの)IT関係で少し様子見が始まる」との見方を示した。また補助金については「中央と地方政府で動いているが、今後も続くのかは現時点で見極めがつかない」(稲葉会長)とした。
同日発表した2024年10―12月期の工作機械受注予測DI(「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いた値)はマイナス2・7と、24年7―9月期から4・1ポイント改善した。
稲葉会長は「多くの会員は今後の受注が一進一退の転換期から回復局面に進むと予測しているが、その時期は年終盤から来年半ばにかけて見解にバラつきが感じられる」と述べた。