機械・工具商社9社の今期、5社増収・営業増益 自動化や省人化期待
機械・工具商社主要9社の2020年3月期連結業績は、ユアサ商事、日伝、杉本商事など5社が増収、営業増益の見通し。山善とフルサト工業は増収ながら営業減益、椿本興業とトミタは減収、営業減益を予想する。国内市場は自動化、省人化需要の継続に期待するが、海外は米中貿易摩擦による中国市場減速などのマイナス影響がより顕著になるとみられる。19年3月期連結決算は増収、営業増益だった全9社の明暗が分かれ始めた。
日伝は7期連続で増収増益となる見通し。ただ、中国など海外需要は減少傾向にあり、成長速度は鈍る。国内外で省力化投資を取り込み、「IoT(モノのインターネット)の導入支援にも力を入れる」(桧垣泰雄取締役)考え。ユアサ商事は建材などの国内販売が20年の東京五輪・パラリンピック需要で好調と見込む。杉本商事は夏以降に半導体業界の需要回復を期待する。
増収減益見通しの山善は主力の機械事業が国内外で減収見込みで、同事業売上高は前期比6・0%減の1610億円を予想。中国向け工作機械は「心理的要素も含めて、慎重に見ざるを得ない」(長尾雄次社長)と見る。国内の自動化需要や住宅設備、家庭用機器の増収でカバーする。
一方、減収減益を予想する椿本興業は「前期に好調だった半導体業界は足踏み状態、スマートフォン向けも先行きが見通せない」(香田昌司社長)と警戒。トミタは前期に好調だった工作機械の反動減が響く。それぞれ、物流向けや工具機器などに注力し、業績の落ち込みを抑えたい考えだ。