9月の工作機械受注、11%減 9カ月連続マイナス
日本工作機械工業会(日工会)が発表した9月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比11・2%減の1339億4200万円と9カ月連続で減少した。前月比は16・7%増と2カ月連続で増加した。稲葉善治日工会会長(ファナック会長)は市場環境について「現段階では上昇に向かうターニングポイントを見いだしにくい状況」とした上で、「一進一退を繰り返す月々の受注総額をならして見ると底堅さが感じられる」と述べた。
地域別の受注額は北米が前年同月比13・4%増の341億6900万円と単月で過去最高を更新した。稲葉会長は電気自動車(EV)関連や航空宇宙産業などで投資の動きがあり「まだ好調が続く」と見る。インドは電機・精密向けで大型受注があり、同95・8%増の64億5300万円と5カ月ぶりに60億円を上回った。
一方、中国は同40・2%減の195億7400万円と9カ月連続で減少した。不動産不況や自動車を含めた過剰生産能力などから設備投資が停滞する。稲葉会長は中国の受注環境について、「底割れはしないと思っている。ただ景気が上向きになるタイミングは見えにくい状況が続いている」と述べた。
内需では自動車向けが9カ月ぶりに100億円を上回り、2023年暦年で最高となった。稲葉会長は「新エネルギー車に関する本格的な需要の立ち上がりはまだ少し先と予測されるが、EV向け駆動装置『イーアクスル』や電池ケースなど一部で受注が見られる」とした。
4―9月期の受注額は前年同期比17・7%減の7372億7800万円と3年ぶりに減少した。稲葉会長は「活況だった22年4―9月期には届かなかったが、悪くはなかった」との見方を示した。