9月の工作機械受注、11%増 内需、6カ月ぶりプラス
日本工作機械工業会(日工会)が発表した9月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比11・0%増の1391億4600万円と3カ月連続で増加した。中国や米国を中心に外需が堅調に推移したほか、航空機や造船向けなどが好調だった内需も6カ月ぶりに増加した。日工会の坂元繁友会長(芝浦機械社長)は「依然として世界経済の方向性が見極めにくいなか、設備投資需要は概して堅調に推移している」との見方を示した。
主要地域別では中国が前年同月比25・0%増と18カ月連続で増加。業種別では一般機械向けが同25・2%増の122億円、自動車向けが同34・2%増の132億円だった。坂元会長は「エレクトロニクス分野などで大きな商談が散見され、その部分で受注を確保できている」と指摘。今後については「製造業で意欲的な設備投資が進んでおり、引き続き高めの水準で推移する」(同)と予想した。
北米は同19・3%増と2カ月連続で増加。主要4業種のうち一般機械向けを除く3業種がプラスだった。鉄鋼製品の派生品として追加された関税を含め、トランプ米政権の関税措置の影響について坂元会長は「足元の引き合い状況は大きく崩れていない。先行きはそれほどネガティブにならないのではないかというのが大方の会員各社の意見」と述べた。
国内は航空機・造船・輸送用機械向けが同3・1倍の64億円と過去最高を更新した。日工会では航空機と造船向けともに今後も好調さが続くとみる。
また4―9月期の受注総額は、前年同期比5・5%増の7797億7000万円だった。外需がけん引し、内需は低迷した。特に内需の車向けは米国の関税措置や電気自動車(EV)開発の方向性が定まらない影響で設備投資の先送りが続いた。
一方、坂元会長は大手車メーカーを含め引き合いが出始めるなど「足元の会員各社の肌感覚としては底を打った感がある」とし、車向けの回復に伴う他産業への波及効果に期待を示した。
