9月の工作機械受注、6.4%減 日欧米、回復鈍く
日本工作機械工業会(日工会)が発表した9月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比6・4%減の1253億6000万円と、2カ月連続で減少した。前月比は13・2%増と3カ月ぶりに増加し、1250億円も3カ月ぶりに上回った。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「需要全体として底堅さが感じられる」と評価した。
地域別の受注額は中国が前年同月比40・1%増の274億1800万円と6カ月連続で増加した。業種別では一般機械向けが同19・5%増の97億円、自動車向けが同66・8%増の98億円、電気・精密向けが同57・4%増の56億円と、春先からの回復基調を持続。稲葉会長はインドやベトナムも好調で、「アジア全体で高原状態が続いている」と見る。
米国は同23・5%減の221億5800万円と2カ月連続で減少。欧州も同34・7%減の135億300万円と9カ月連続でマイナスとなり、夏場以降の厳しさが続く。
内需は同7・8%減の415億2900万円と25カ月連続で減少した。一方、11月5日に都内で日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が開幕。稲葉会長は「各社新製品を一堂のもとに比較できるJIMTOFまで決定を保留する動きが感じられる」と述べた。
今後の中国について日工会は自動車関連で世界市場を見据えた積極投資の継続を予想。稲葉会長は「金型など各産業機械や通信機器関連で意欲的な企業によるまとまった投資や補助金効果の持続が見込まれる」とした。
一方、欧州について稲葉会長は「受注の底割れはないが、回復の糸口が見えない」と指摘。受注低迷の要因として日米と同様に、自動車関係で電気自動車(EV)からハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)への開発方針のシフトや逡巡があるとし、「プロジェクトが定まらず厳しい状況が続いている」(稲葉会長)との見方を示した。