共立精機、工具刃“付着物”を検知 プリセッター用AI開発
共立精機は、画像処理タイプのツールプリセッター用人工知能(AI)ソフトウエアを開発した。ドリルやエンドミルなど刃具に付着した切り粉、塵やホコリなどの異物を検知し、付着物を除いた寸法を正確に測定できる。自動車、航空機業界など金属加工が必要な製造現場で、人手による工具の付着物の除去作業を省ける。消費税抜きの価格は50万円。10月に発売し、2022年度に20台の販売を目指す。
省人化、省力化のニーズが高まっており、24年度には年販60台に引き上げる考えだ。
共立精機製の非接触式の画像処理ツールプリセッター向けに展開する。画像処理プリセッターは、電荷結合素子(CCD)カメラで工具の形状、径や高さ、角度などの寸法を測定する。高精度に測定できる半面、刃具に付着した塵やホコリまで認識する誤測定が課題となっていた。そのため、専用クリーナーで工具を拭き取る作業が生じていた。
開発したAIソフトは、数千パターンにおよぶ深層学習(ディープラーニング)により、付着物を検知して刃具の寸法だけを正確に測定できる。「工具の交換から測定、データ転送まで人を介さない自動化システムを実現した」(共立精機)としている。
共立精機は、スギノマシンの完全子会社。1950年創業で従業員は約100人。ツールプリセッターのほか、工作機械と切削工具をつなぐツーリング(工具保持具)、光学機器向けの球面加工機、撹拌・脱泡機などの開発、製造を手がける。ツールプリセッターと刃具交換装置や複数の機器を組み合わせて、工具の交換から計測までを自動化したシステムを15年に開発した。AIを活用し機械加工現場の自動化ニーズに対応する。