外観検査AI、1週間で導入可能 武蔵精密
武蔵精密工業は、生産ラインへの導入期間を大幅に短縮できる部品の外観検査用人工知能(AI)技術を開発した。
これまで半年―1年ほどかかっていた導入期間を、1―2週間に短縮できる。検査精度は95%以上だという。すでに同AIを搭載した専用検査機を製品化しており、月内にも受注を始める。
生産現場に手軽にAIを導入できるようにし、検査工程の負担を軽減する。
従来AIを使った外観検査では、良品と不良品を判別できるよう、大量の検査画像をAIに認識し学習させる。数万枚規模の画像認識が必要な場合もあり、生産ラインで利用できるようになるまでには長期間がかかる。
武蔵精密は自社の生産ラインで学習した検査AIを元に、学習アルゴリズムを改良。部品自体ではなく部品の傷を認知することでAIの汎用性を高め、従来よりも少ないデータで学習できるようにした。その結果、画像データの学習期間を大幅に短縮した。歯車製品や対称形の部品を検査できる。
導入期間短縮で、加工設備を設置する感覚でAI検査機を導入できるようになる。現在、自社工場の量産ラインで検査機を導入しており、外販の際は検査にかかる人件費と同程度の価格にする考えだ。今後は複数種類の部品を1台の装置で検査できるような、AIアルゴリズムのさらなる汎用性向上を進める。
武蔵精密はギアやボールジョイントなど、車の駆動部品が主力。近年は新規事業に力を入れており、2019年にイスラエルのAIベンチャーと合弁会社を設立するなど、AI分野の取り組みを加速している。将来は新規事業で1000億円の売り上げを目指している。