シチズンマシナリー、汎用の自動旋盤で最上位機 B軸を同時5軸制御
シチズンマシナリーは、主軸台移動型コンピューター数値制御(CNC)自動旋盤の主力機種「シンコムL20シリーズ」の最上位機種を開発した。斜め加工が可能なB軸ツールの同時5軸制御により、複雑で高精度な加工を実現する。操作性や作業性を高める改良も施した。6月に市場投入する。価格は1280万円(消費税抜き)。月産10台を見込む。
新機種の「L20ⅫB5」は、最新のNC装置の採用によりB軸の同時5軸制御を実現した。工具の位置や姿勢、向きを柔軟に制御でき、複雑で高精度な曲面加工が可能となる。正面の加工範囲も従来の最大90度から同110度に拡大し、従来よりも背面側を加工できる。ワンチャックでの加工幅が広がるため、背面側のツール本数を削減でき、段取り時間の短縮も図れる。
正面・背面で利用できる切り粉処理技術「LFV(低周波振動切削)」や、B軸用自動工具交換装置(ATC)のほか、ローダー・アンローダー装置などをオプションで実装可能。自動化や省力化ニーズに対応する。
また、操作盤に15インチの大型タッチパネルを採用。加工室の扉を上方向に全開できる方式にしつつ背面にも扉を設けることで、ツール交換や段取り作業も行いやすくした。
シチズンマシナリーの主軸台移動型CNC自動旋盤の汎用機であるL20は1990年の発売以来、累計出荷台数が1万4000台を超えるベストセラー機。既に同自動旋盤の上位シリーズは5軸制御機能を搭載しているが、L20は4軸制御までの対応だった。
医療機器部品や精密機器部品は一層複雑化している。今回の新機種投入をテコに複雑な加工ニーズを取り込み、L20シリーズ全体のシェア拡大につなげる。