不二越、エンドミルに新溝形状を採用 超硬工具の傷抑え寿命延長
不二越は超硬工具「アクアREVOシリーズ」で、傷の原因となる切りくずを離れやすくするための新たな溝形状を開発した。難削材の一つであるステンレス鋼に対応したエンドミルに新しい溝形状を採用し、発売開始した。
加工面品位の向上とともに、工具寿命の延長による顧客のコストダウン効果を見込む。初年度に年1億円、3年後に同3億円の売上高を目指す。
新開発の溝形状「エアーフルート」は、被削材の切りくずとすくい面が接触する長さを短くして、安定した切りくず離れを実現する。切削速度や送り量を上げても切りくずのかみ込みによる傷がなく、高品位な加工面に仕上げられる。接触時に生まれる加工熱を軽減して加工硬化を発生しづらくしており、切削抵抗は同社従来品比2割減少した。同抵抗が小さいことなどから工具寿命は他社製品比約3倍になった。
ステンレス鋼は耐食性や耐熱性に優れ、家電から産業機器まで幅広く使用される。高圧水素環境に適した鋼材は水素社会のインフラ構築にも寄与すると期待されている。ただ切りくずのかみ込みや、熱伝導率が低く工具に熱がこもりやすいなど加工には難点もある。不二越は新開発の溝形状でこうした課題を解決した。
新製品のエンドミル「アクアREVOミル ステンレス用」はチタン合金や耐熱合金などの被削材にも対応。外径3ミリ―20ミリメートルの範囲で全9寸法を展開する。外径6ミリメートル、全長50ミリメートルの商品は1本7500円(消費税抜き)。