車各社、新車の収益性減少 原材料・販売コスト上昇
自動車メーカー各社の新車の収益性が減少傾向にある。国内乗用車7社の2025年3月期の新車1台当たりの利益では7社の平均値は約21万円となり、コロナ禍の影響から需給が改善して好調だった前期から一転して約6万円下回った。為替の円安効果が収益を押し上げたものの、原材料価格や販売コストの上昇などが悪化要因となった。
7社中で唯一、前期比プラスとなったスズキは円安効果に加え、売り上げ構成の改善が寄与。日本やパキスタン、中東などが好調で販売台数も伸ばした。
1台当たり利益が首位のトヨタ自動車は将来に向けた投資や足場固めを進めながら価格改定や販売奨励金(インセンティブ)の抑制、改善活動が奏功し高水準の利益を確保した。
SUBARU(スバル)は円安のプラス効果があったが、台数減や奨励金の増加が響いた。三菱自動車は競争激化で北米を中心に販売費が増加しインフレなども影響した。マツダは収益性の高い米国市場で販売台数を伸ばしたが、競争激化による奨励金の増加が収益を押し下げた。
ホンダは商品価値に見合う値上げに取り組むも、電気自動車(EV)拡販に伴う奨励金の増加や研究開発費の増加が響いた。日産自動車は台数減や奨励金増加が収益を圧迫し前期を大きく下回った。
今後もコスト上昇や為替変動など減少要因に加え、トランプ米政権の関税政策による収益悪化が見込まれる。関税影響の最小化とともに地道な原価低減活動が求められる。