乗用車8社の世界生産、8月10%減 中国競争激化響く
中国の新エネルギー車(NEV)市場の拡大による競争激化が日系自動車メーカーの事業展開に影を落としている。乗用車メーカー8社がまとめた8月の生産・販売・輸出実績では、8社合計の世界生産台数が前年同月比10・2%減の185万4160台となり4カ月連続の前年割れとなった。中国・比亜迪(BYD)など新興勢力が攻勢を強める中、苦境が続いている。
8月の世界生産は全社が前年割れとなった。ホンダ、ダイハツ工業は2カ月ぶり、マツダは4カ月ぶりにマイナスとなったほか、SUBARU(スバル)は2カ月連続、日産自動車とスズキは3カ月連続、トヨタ自動車と三菱自動車は7カ月連続で前年を下回った。
世界市場で苦戦が顕著なのが中国だ。各社の中国販売で、トヨタは新型ミニバン「グランビア」などが好調なものの厳しい市場環境を受け前年同月比13・5%減だった。セダン「シルフィ」の台数減が響いた日産は同24・2%減。ホンダは同44・3%減だった。日産は5カ月連続で、ホンダは7カ月連続でともにマイナスと低迷が続いている。
厳しい市場環境を受け、日産は常州工場(江蘇省常州市)を閉鎖。ホンダも広汽ホンダ(広東省広州市)第4工場を10月に閉鎖するほか、東風ホンダ(湖北省武漢市)第2工場の11月休止を決めた。
日本国内の状況も総じて低調だ。8社の8月の国内生産は全社が前年割れ。トヨタは台風による稼働停止や認証問題による小型スポーツ多目的車(SUV)「ヤリスクロス」をはじめ3車種の生産停止などが影響した。日産はミニバン「セレナ」の台数減が響いた。海外生産が8社中唯一プラスだったマツダも、国内生産はSUV「CX―5」の生産減で2カ月ぶりのマイナス。ダイハツは軽自動車、登録車とも減少し3カ月ぶりに前年を下回った。