ファナック、CNC刷新 事前再現で工数削減
ファナックは、工作機械向けコンピューター数値制御(CNC)装置にデジタルツイン技術を取り入れた新機能を発表した。CNCのシミュレーターを改良し、切削加工時のCNCの動きを正確に再現。実切削前に加工プログラムを機械で空運転させ、加工面を推定する機能も導入する。CNCを搭載する工作機械の設計や保守でもデジタルツインを活用。工作機械のメーカーやユーザーの生産性向上につなげる。
CNCのシミュレーター「CNCガイド」は10月に改良を予定する。加減速制御などのCNCの動作を忠実に再現。正確な加工時間の予測などにつなげる。加工面推定機能は8月に追加予定で、サーボ位置情報から加工面を推定できるようにする。
工作機械で加工不良が起きた場合、一般的には加工プログラムや加工条件を見直す「手戻り作業」が必要になる。修正した加工プログラムや条件が正常に機能するかを確認する試作を含め、完成までの工数が増える原因となっていた。ファナックの新しいCNCガイドや加工面推定機能を用いて事前に確認することで、こうした手戻り作業を極力なくし、工数削減につなげる。
一方、工作機械の設計向けでも新しいCNCガイドを活用。操作画面などのアプリケーション開発をデジタル環境上で進められるようにし、ファナック製CNCを使う工作機械メーカーの設計効率化を支援する。
工作機械の保守でもCNCガイドを利用し、稼働監視のほか、加工現場で発生した問題を把握。デジタル環境でリモート調査を実施し、機械の稼働停止時間(ダウンタイム)を短縮する。