ダイヤ工具、カタログ×教科書で認知度向上 オーエスジーダイヤモンドツール
オーエスジーダイヤモンドツールは、世界でも珍しい、ダイヤモンド切削工具のカタログを発行・公開した。
同工具のカタログというだけでも珍しいが、さらにユニークな点は同工具の認知度が低いという現状を打開すべく、基礎から解説した“教科書”と位置付けたことだ。日本語のほか英語と中国語版も用意し、世界の技術者に向けホームページ上で無料公開。市場開拓につなげる。
カタログ「THE DIAMOND BASICS」は100ページあり、前半を教科書、後半を標準品カタログで構成する。
教科書パートではダイヤ工具の種類や特徴、用途などについて解説。初心者から理解できる内容とした。カタログパートには同社製のドリルやエンドミルといった各種工具の標準品、計28品目を紹介。紙媒体も発行するが、メーンはウェブ公開とする。「年間5件以上出す」という新製品を追加したり教科書内容を更新したり、順次改訂していく。
「ダイヤ工具の啓発をしたい」。神谷社長は、そんな思いを抱き教科書の必要性を感じていた。切削工具は世界的に超硬合金製が主流。それはオーエスジーダイヤモンドツールの親会社であるOSGの主力製品でもある。実は同じ切削工具という業界でありながら、OSG内でも「ダイヤ工具をよく知らない人は多い」というほど知名度が低い。
ダイヤ工具は、その名の通り世界一硬いダイヤを素材とし、長寿命で鏡面仕上げができるほどの精密加工を強みとする。ただ、特にオーエスジーダイヤモンドツールが得意とする単結晶のダイヤ工具は、ほとんどが特注品の世界。職人技で作り、納期が長く高価格。そうした背景もあり市場が広がらなかった。「ダイヤが適する加工にも超硬が使われている」のが現状という。
そこで同社は2023年にレーザー加工を活用して短納期で低コストの単結晶ダイヤ工具の標準品を発売。「世界で初めて」在庫を持ち即納できるようにした。同工具を手軽に試してもらい、新市場開拓につなげたいという思いからだった。そして今回、教科書兼カタログを制作、世界に発信することで認知度向上を図る。
同社が特に販売拡大を狙うのは海外市場。アジアの半導体市場や米国の医療市場などを有望視する。今後5年以内に海外売上比率を、現状の10%程度から30%にまで引き上げる計画だ。神谷社長は「ダイヤ工具の市場は我々も未知な部分が多い。このカタログが市場を開拓してくれる」と期待する。