ダイジェット、超硬合金拡充 耐摩耗・耐食2種提案
ダイジェット工業は高い硬度と強度を併せ持つ耐摩耗工具用の超硬合金「HS10/20」と、水ワイヤカット加工時の腐食を抑える超硬合金「SD40」の提案を7月から始める。HS10/20はロックウェル硬さ(HRA)が93以上、抗折力が4・3ギガパスカル(ギガは10億)以上で、同社の耐摩耗工具用材料では最も高い。半導体部品向けの切断工具や電池ケースの絞り加工用金型などの用途を想定する。価格はいずれも従来品比1―2割増程度となる見通しだ。
HS10/20は、原料の微粒子を均一に配合し焼結方法を工夫して組織を微細化した。組織の結合力が高まっており、よりシャープで刃こぼれしにくい刃先が作れるという。
SD40は、水ワイヤカット加工時の腐食を抑えられる超硬材料。水ワイヤカット加工は、ワイヤ放電加工の加工効率を上げるために、超硬材料を油でなく水に漬ける加工方法だが、加工時間が長くなるとコバルトやニッケルが溶出して腐食するのが課題となる。
SD40は濃度0・5パーセントの塩酸溶液に浸して通電したところ、10分後でもコバルトやニッケルが100%近く残存していることを確かめた。
HRAは89・5、抗折力は3・3ギガパスカル、比重は14・4で同社の従来材料と同等ながら、耐食性は従来品を上回る。