DMG森精機、テスト加工をデジタル化 5軸・複合機で最短2日
DMG森精機はデジタルツインによる工作機械のテスト加工を始めた。加工時の切削力や工具振動などの切削状態や面品位を、実機による加工と同じように確認できる。テスト加工時間の大幅短縮に加え、工具や素材、消費電力の削減も実現する。工作機械の微妙な構造変化まで再現できるデジタルテスト加工は世界初という。テスト加工の短納期要望への対応と、環境配慮に貢献できる点も訴求し、工作機械の受注拡大につなげる。
顧客が工作機械を選ぶ際に行うテスト加工は通常、実機で加工対象物(ワーク)を加工し、加工精度や生産性が要求を満たすかどうか確認する。しかし、工作機械の空き状況や工具、治具の手配状況などによっては短時間での実施が難しい場合がある。
DMG森精機が始めた「デジタルツインテストカット」は、工具や加工素材、治具のほか、工作機械の物理的特性もデジタル上で構築し、切削加工を再現する。テスト加工工程のシミュレーションだけでなく、加工条件の最適化までをデジタル上で行える。
静的・動的な特性を高精度にモデル化することで、実際の加工と比べても誤差精度をプラスマイナス数%に抑えられる。テスト結果は顧客の依頼を受けてから最短2営業日で回答できる。専任組織「デジタルツイン加工技術グループ」を1日付で設置しており、まずは5軸・複合加工機のテスト加工を中心に実施する。
同社はこれまで、顧客との出荷前の製品確認を遠隔で行う「デジタル立ち会い」や、実際の展示施設をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した「デジタルツインショールーム」の開設などに取り組んでいる。今回を含めたデジタル施策を通じて顧客の生産性向上や持続可能な社会への貢献につなげる。