DMG森精機、鋳物部品を再資源化 循環の仕組み構築
DMG森精機は工作機械の使用済み鋳物部品を回収し、再び同社製工作機械の鋳物部品の原料に再資源化して循環させる仕組みを構築する。2024年に同鋳物部品と、同社の鋳物加工工程で発生した切り粉を回収して再資源化し、銑鉄から鋳造する場合と比べ約900トンの二酸化炭素(CO2)削減効果を見込む。原材料の調達から廃棄まで製品のライフサイクル全体で脱炭素の取り組みを加速し、高品質な鋳物の安定調達にもつなげる。
DMG森精機は子会社のDMG森精機CIRCULARや鋳物製造のDMG MORIキャステック(キャステック、島根県出雲市)と連携して取り組む。工作機械の使用済み鋳物部品を再資源化して循環させるのは業界初とみられる。
仕組みはDMG森精機が顧客から廃棄対象の同社製工作機械を引き取り、協力先の解体業者で鋳物部品を抽出して細断。鋳物の原料としてキャステックで溶解し、工作機械の土台となるベッドやコラムといった部品の鋳物を製造する。23年までに成分や剛性など工作機械の鋳物としての適性を科学的に検証して確認。解体業者とキャステックで回収した鋳物の成分をそれぞれ分析するなど品質確保の仕組みも構築した。
24年に約100台の工作機械を引き取るほか、DMG森精機の伊賀事業所で発生する切り粉を回収して約560トンの鋳物の原料を調達する。25年には切り粉の回収先を協力会社にも広げて計約1000トンの鋳物原料を調達し、銑鉄から鋳造する場合と比べて約1800トンのCO2削減を予定する。
鋳物部品をめぐっては人手不足や原材料費の上昇などから調達リスクの高まりが懸念されている。DMG森精機は調達先のキャステックが本社工場で生産能力拡大や設備の入れ替えを実施。23年にはコークス炉から電気炉に切り替え、CO2フリー電力なども活用して環境に配慮した鋳物の生産を増やしている。さらにCIRCULARと鋳物を循環させる仕組みも構築し、高品質な鋳物の安定確保とライフサイクル全体で環境負荷を抑えた工作機械の供給につなげる。