欧米で超硬工具深耕 DXで課題解決
三菱マテリアルは欧米の超硬工具市場を深耕する。顧客の工作機械に「新切削加工モニタリングシステム」(MICS)を装着し、工具の摩耗や欠損原因を診断したり、最適な加工条件を割り出したりする。デジタル技術を活用したソリューションでチタンやインコネルなど難削材加工の生産性向上を訴求し、自動車、航空宇宙、医療機器中心に超硬工具部門の売上高を年率約7%伸ばす。
三菱マテリアルは超硬切削工具で交換式、一体式を品ぞろえする。同部門売上高(20年度は1200億円程度)の約4割を占める欧米市場で難削材加工領域を開拓し、成長につなげる。欧米では年に数社から十数社にMICSの導入を目指す。
MICSは工作機械の制御盤に取り付け、センサーで把握した工具の摩耗度データなどを収集・分析。リアルタイムの工具監視で最適な交換時期や切削の最適条件を示し、工具費などのコストダウン、省人化、設備停止防止につなげる。海外に先行して日本の一部ユーザーでMICSを装着済み。一度設定すればデータ収集・分析が容易で、さまざまな展開が可能だ。
同社は航空機や自動車関連顧客が集積する独シュッツガルト、スペイン・バレンシア、米ノースカロライナにソリューション・研修拠点を持つ。コンピューター利用解析(CAE)による切りくず解析、加工パスのシミュレーションなどを通じ、日本式にキメ細かく最適な加工技術や生産性向上策を提案する。