デンソーなど、トヨタEVに新基幹ユニット 走行・乗り心地・電費支える
トヨタ自動車が初の電気自動車(EV)専用車「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」を市場投入することを踏まえ、デンソーや豊田自動織機、アイシンなどトヨタグループ各社もEV向けユニットに本腰を入れ、小型化や軽量化、機能集約化などでEVの走行や乗り心地、電費を支える。各社は供給体制の整備や技術開発を加速し、EVの普及を後押しする構えだ。
デンソーとアイシンがトヨタと共同出資するブルーイーネクサスは、高い動力性能と小型化を実現し、車両の電費向上に貢献する「eアクスル」を同社として初投入した。前輪駆動車向けの150キロワット仕様と4輪駆動車向けの80キロワット仕様の3機種を開発した。
eアクスルはモーターとインバーター、減速機などを一体化したモジュール。自動車メーカーはEVの開発・生産工数を減らせるなどの利点がある。3社が開発したeアクスルはインバーターをトランスアクスルに内蔵する「ビルトイン構造」などにより「フロントは前後方向の長さ、リアは高さを低減した」(ブルーイーネクサス)と説明する。
冷却やインバーターの積層両面技術進化により出力密度を向上し、長時間・高トルクで出力可能な動力性能を実現。モーターの最適磁気設計や低粘度オイルなどで電費の向上も図る。
eアクスルの開発・供給はEV普及とともに競争が激化する。日本電産は大型設備投資を進め、IJTTは商用車向けeアクスルを開発する。アイシンもeアクスルなどに取り組む人員を拡充する。
デンソーはbZ4X向けに充電・電力変換・電力分配の機能を集約した「ESU」や大気の熱をエアコンの熱源にする「高効率エコヒートポンプシステム」を供給する。内燃機関を持たない電気自動車はバッテリーが唯一のエネルギー源。ヒートポンプにすることで「EVの航続距離は20―30%伸びている」(デンソー)と熱管理の有効活用がカギになると話す。
豊田自動織機は車載充電器とDC―DCコンバーター(電圧変換器)を一体化した新ユニットを完成。充電機能と電力変換機能を担う。一体化したことで別体に比べ、23%の小型化と17%の軽量化を可能にした。
このほかアイシンでは床下電池ケースの側部に組付けて衝突時に電池を保護する「ロッカーEA材」などを展開する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現するには車の電動化が必須。電動車向け部品の開発も熱を帯びている。