冨士ダイス、新合金開発 レアメタル9割削減
冨士ダイスは汎用の超硬合金に比べタングステンとコバルトの含有量を9割削減した合金を開発した。産出地が偏在する希少金属(レアメタル)の使用を抑え、地政学リスクに影響されずに安定供給する。硬さと欠けにくさを汎用超硬と同等程度とし、重さはほぼ半分。回転工具に使えばモーターの負荷軽減による電力削減や、回転数の増加による生産性向上が見込める。
開発した新合金「サステロイ ST60」は、硬さ(HRA)が88・2(汎用超硬は88・0-90・0)で、硬さ試験でのクラック長が34マイクロメートル(同17―45マイクロメートル)。導電性や磁性があるため放電加工や磁力選別ができる。
超硬製の大型金型は重量が大きく取り扱いが課題。サステロイ ST60は重さが超硬の半分と軽量で、回転工具や大型金型を大幅に軽量化できる。
超硬合金の主要成分であるタングステンは、採掘量のほとんどを中国が占める。結合材のコバルトは、電気自動車(EV)のリチウムイオン電池(LiB)向けの主原料として需要が増加し、価格高騰の懸念がある。
冨士ダイスは新合金が地政学リスクや価格高騰にさらされにくいとみており、リスクが顕在化した際には汎用合金の代替品になると想定している。