富士精工、切削工具生産を自動化 新ライン本格稼働
富士精工は切削工具や治具を製造する工程の省人化に注力する。切削工具の生産を自動化したラインを本社工場で5月に本格稼働させた。また、12月に導入予定の治工具生産工程の加工機も無人運転をできるようにするなど、多くの工程で省人化を進める。主力である自動車関連向けの製品の需要が、電気自動車(EV)の普及で縮小するとみられる中、新規分野開拓の人員を確保するために現在の生産工程の省人化を図る。
切削工具の自動化ラインは、加工機2台と無人搬送車(AGV)、ロボットを組み合わせる。ロウ付けなどの一部の工程を除き、粗加工から研磨、座繰り、溝切りなど完成品までのほぼ全ての工程を24時間無人で稼働できるようになる。従来から各工程ごとに省人化のための自動化に積極的に取り組んでおり、同ラインはその集大成となる。
富士精工は切削工具でも特殊品を得意とするが、約70%の製品を同ラインで生産できるようになる。今後は、それ以外の製品の自動化に注力する。
ホルダーや治工具などを生産する工程では、超精密加工機を12月に導入する。同加工機は、パレットチェンジャーで無人加工を可能にする予定。そのほかにも、検査工程も自動検査装置を入れるなどして省人化し、全体の40%を自動で検査可能にした。
同社は主に自動車関連の特殊ホルダー、切削工具を手がける。生産工程を省人化することで、新規分野への人繰りを狙う。
また、自動化に合わせて作業場所を集約して省スペース化し、新規分野の作業場所も確保する。