工具選定・段取り時短 不二越、自動旋盤用ドリル
不二越はコンピューター数値制御(CNC)自動旋盤用ドリルを7月1日に発売。くし形刃物台の旋盤向けに専用設計した。工具の突き出し長さを一定にすることで、工具交換時の逃がし動作が不要となりサイクルタイムを短縮可能。工具を選定する際や段取りの手間を省き、生産性を高められる。機械メーカーや自動旋盤を使う部品加工メーカーに訴求し、同ドリルシリーズ全体で3年後に3億円の売上高を目指す。
CNC自動旋盤は複雑加工ができるように多軸化し、複数の刃物台を持つ機種が増えて多機能化が進んでいる。
不二越が発売する「LAアクアREVOドリル」は、加工対象物(ワーク)との距離が短く、取り付ける工具の突き出し長さに制約があるクロス刃物台向けとして開発した。工具の突き出し長さが一定で、工具交換時の干渉を回避できる。
消費税抜きの価格は直径6ミリメートル、基準突き出し長さが20ミリメートル、全長50ミリメートルのモデルで9210円。V溝加工や面取り加工にも対応するスターティングドリルもそろえる。
同刃物台は基準突き出し長さが20ミリメートル、30ミリメートルと決まっている。刃物台に取り付けられた複数の工具は刃物台と一体で移動するため、工具の突き出し長さがそろっていないと、工具交換時にワークへの干渉を避けるため工具を逃がす動作が必要だった。
またドリルの直径によらず突き出し長さがそろうようにした。従来のドリルでは自動旋盤の取り付けスペースに合わせて工具の突き出し長さをそろえなければならなかった。
CNC自動旋盤は電気自動車(EV)化に伴い、電子制御部品や半導体加工向けに需要が拡大している。また建設機械や医療機器における精密部品加工向けにも需要が伸びており、不二越は新工具の投入でそれらの需要を取り込む。