工作機械18社の通期見通し、12社増収 電子・航空宇宙が寄与
工作機械主要18社の2026年3月期(2社は25年12月期)の業績予想は、売上高を公表している16社のうち12社が増収を見込む。営業損益では公表12社のうち6社が増益、4社が減益、2社が赤字を予想する。中国や米国、日本で電子機器や航空宇宙、造船関連などの受注が業績を押し上げるとみる。一方、トランプ米政権の関税措置やその影響などをどう織り込むかで各社の見方が分かれた。
中国市場が主力のツガミは25年4―9月期の実績を踏まえ、26年3月期の営業利益予想を5月公表比75億円増の270億円に上方修正した。中国での現地生産による短納期対応や迅速な修理復旧体制などにより、自動車や半導体、電子機器関連など幅広い分野で需要を取り込んだ。
牧野フライス製作所は26年3月期のアジアでの受注予想を4月公表比4%増に見直した。25年4―9月期に中国で受注が前年同期比50%増えた。同社幹部は中国で新エネルギー車(NEV)の金型の内製化に向けた設備投資が始まったほか、「電子部品向けの設備更新のための金型需要も重なった」とした。
シチズン時計は受注の緩やかな回復を踏まえ、26年3月期の工作機械事業の営業利益予想を5月公表比4億円増の64億円に上方修正した。特に北米で25年7―9月期の受注が医療関連で堅調に推移し、「米販売拠点で予定する値上げ前の駆け込み需要もあり、大幅増となった」(同社幹部)。
芝浦機械は25年4―9月期に工作機械事業の受注が前年同期比25・9%増の133億円に増加。国内では大型機の受注が増え、坂元繁友社長は「今後は造船関係でさらに増えてくる。下期に期待している」と述べた。
一方、オークマは26年3月期の営業利益予想を5月公表比80億円減の140億円に下方修正した。米国と日本で大手企業を中心に防衛や航空宇宙関連などの大型案件が活況だったが、米関税政策の影響により両国で「一番のボリュームゾーンの中小事業体が投資を控えた」(家城淳社長)ことが響く。特に米国では利益率の高いジョブショップ(部品加工を受託する中小製造業者)向けの伸びが想定を下回っていることが大きく影響する。
DMG森精機も25年12月期の営業利益予想を2月公表比200億円減の180億円に見直した。米関税負担の交渉に伴う出荷遅延や、調達する欧州製コンピューター数値制御(CNC)装置の刷新に伴う対応などで「納期の乱れが発生している」(森雅彦社長)影響を織り込んだ。
CNC装置大手のファナックは同製品を中心とするFA部門の25年7―9月期の売上高が前年同期比5・4%増の542億円、受注が同1・3%減の488億円だった。同部門の受注状況について山口賢治社長は「25年4―6月期は少し前倒しなどがあり、25年7―9月期は前四半期ほどではなかった印象。25年10―12月期以降は堅調に推移するとみている」とした。
