工作機械19社の通期見通し、10社減収・7社営業減益
工作機械主要19社の2025年3月期(2社は24年12月期)の業績は、売上高を公表している17社のうち10社が減収を予想する。営業損益では公表する13社のうち7社が減益、3社が増益、2社が赤字、1社が黒字転換を見込む。受注状況は地域や業種、企業ごとに異なるまだら模様で、どう織り込むかで業績見通しが分かれる。トランプ次期米大統領による輸入関税強化の動きもあり、収益環境は先行き不透明感を増している。
牧野フライス製作所は25年3月期の営業利益予想を、24年4―9月期(上期)実績を踏まえて4月公表比15億円増の170億円、受注計画を同125億円増の2275億円に上方修正した。
地域別の受注では国内、中国、インド、米国などで従来計画からの上振れを見込む。中国では新エネルギー車(NEV)向けで底堅い受注が継続。半導体関連向けでも設備投資の動きがあり、宮崎正太郎社長は「従来とは異なる要求水準から次世代向けの投資と見ている。ベトナムなどに生産拠点を設ける動きも受注を底上げする」と見る。
ツガミも25年3月期の営業利益予想を5月公表比35億円増の185億円に上方修正した。上期の売上高が中国で前年同期比43・1%増の360億円と大幅に伸びるなど過去最高を更新した。
今後の見通しについて同社幹部は「不透明感が続き受注環境は世界的に良くないが、大手を中心とした大口案件を取り込み着実に事業を進める」と述べる。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は25年3月期の売上高予想を5月公表比20億円増の750億円に上方修正。補助金効果があった中国など上期の地域別の受注動向を反映した。
一方、オークマは25年3月期の営業利益予想を同40億円減の175億円、受注計画を同50億円減の2150億円に下方修正した。地域別の受注はアジア・パシフィックで従来計画から上振れを見込むが、日米欧では下振れを予想。米国では中堅・中小企業を中心に設備投資の先送りの影響を受ける。
DMG森精機は24年12月期の営業利益予想を4月公表比145億円減の440億円、受注計画を7月公表比300億円減の5000億円に下方修正した。欧米の需要が8月以降に調整局面に入るなど、「お客さまの意思決定が大変長期化している」(森雅彦社長)。受注回復の想定以上の遅れや、新統合業務パッケージ(ERP)導入に伴うドイツ工場での一過性の生産混乱による出荷の遅れなどから業績を見直した。
ブラザー工業も産業機器事業で受注回復の遅れなどを反映し、25年3月期の売上高を5月公表比247億円減の505億円に下方修正した。