工作機械19社の通期見通し、受注下期以降の回復期待
工作機械主要19社の2025年3月期(2社は24年12月期)の業績は、売上高を公表している17社のうち10社が増収を予想する。
営業損益では公表する13社のうち3社が増益、7社が減益、3社が黒字転換を見込む。足元で底打ちの兆しも見られる受注は、下期以降に半導体関連や自動車向けを中心に回復が期待される。受注回復の時期や規模をどう織り込むかで、各社の業績の見方も分かれるようだ。
牧野フライス製作所は25年3月期の受注を前期比0・8%増の2150億円と予想。永野敏之専務は半導体製造装置向けの受注で「ポンプなど消耗品関係の需要が増えており、こうした状況が続くと新規の設備投資も増える」と見る。DMG森精機も24年1―3月期の半導体関連向けの受注で精密バルブなどが活発で、森雅彦社長は「半導体の動き出す息吹が感じられてきた」と話す。
自動車では電気自動車(EV)の普及見通しが立たず投資を控える動きも見られた。芝浦機械の坂元繁友社長は「完成車メーカーがEV、ハイブリッド車(HV)、ガソリン車などの方向性を見極められるようになり、それぞれ具体的な設備投資の話が出てきた」と変化を感じ取る。
景気が低迷する中国だが、日本工作機械工業会の統計では4月の受注額が16カ月ぶりに前年同月を上回った。中国が主力のツガミは上期(24年4―9月)の売上高を前年同期比15・4%増と予想。ただ同社幹部は「先行き不透明感は拭えない」とし、下期の売上高は前年同期並みに据え置いた。
ブラザー工業は25年3月期に産業機器事業で中国など「アジア他」の売上高を前期比98・8%増の485億円と予想。中国を中心に自動車や一般機械向けの設備投資回復を見込み、「増強を進めてきた製品ラインアップや販売・サービス拠点を足がかりに大幅な成長を目指す」(同社幹部)。
DMG森精機は24年1―3月期の受注がドイツなどで好調に推移したほか、機械1台当たりの単価も上昇し、23年10―12月期比で13・5%増加。約2割を占めるサービスや補修部品の受注も前年同期比10%増となり、森社長は「機械が動き出している」と指摘。2月公表の24年12月期連結業績予想を売上高、営業利益、当期利益でそれぞれ上方修正した。
オークマは25年3月期に減収減益を予想するも、受注単価の引き上げが順調に進む。特に海外は円安ながらも値下げをせずにコスト増分の「価格転嫁を進めた」(家城淳社長)。24年3月期の受注単価は16年3月期比で国内は30%増、海外は50%増に拡大した。