工作機械5社、5月受注11%減 5カ月連続マイナス
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要5社の5月の受注実績は、前年同月比11・2%減の368億8400万円と5カ月連続で減少した。前月比では5・0%増と2カ月ぶりに増加した。欧米での金利上昇や中国経済の先行き不透明感などから、設備投資を様子見する動きが広がり、受注の調整局面が続いているようだ。
5社合計の外需は前年同月比4・0%減の263億4900万円と、3カ月連続で減少した。内需は同25・3%減の105億3500万円と、7カ月連続の減少となった。
5社のうち、前年同月比で総額が唯一増加した芝浦機械は外需がけん引。中国では産業機械向けに横中ぐり盤、車載カメラ向けに超精密加工機、韓国では自動車照明向けに超精密加工機の受注が伸びた。
オークマは北米で中小企業を中心に金利上昇の影響が見られるが、「電気自動車(EV)、オイル・ガス、航空機向けなど幅広い業種で受注を得ている」という。中国ではEVや一般機械向けなどで受注が続くが、先行き不透明感などから「商談が長引きつつある」状況だ。
ツガミは市場全体で受注の調整局面が続いていると見るが、「日本や中国ではEVなどで反発の兆しが出てきているとの声も聞かれる」とした。
ジェイテクトは一般機械や自動車関連向けでスポット受注があり内需を支えた。同社経営企画部は「国内ではエンジン部品以外の一般機械向けの受注に回復傾向が見られる」との認識を示した。
牧野フライス製作所は2023年度上期(4―9月期)を受注の調整局面と予想しており、「5月も落ち着いた水準が続いた」と見る。今後の受注動向については「半導体製造装置向けなどがけん引役となり、下期から国内外で受注が回復していくと想定している」との見通しを示した。
オークマは受注の調整局面が続く現状から「4―6月期を底に緩やかな回復局面を見込んでいる」とした。ジェイテクトは今後について「中国ではEVなど新エネルギー車向けの高い需要の維持」を期待し、北米では金利やインフレ上昇の落ち着きによる「受注の回復を期待している」という。