工作機械メーカーの通期見通し、受注残が業績下支え
工作機械メーカー各社の2024年3月期の業績は、堅調な市況を受け前期に積み上がった受注残が、販売を下支えする見込みだ。一方、足元の受注は22年秋頃から調整局面が継続。受注の回復時期、けん引する地域、業種をどう織り込むかで、各社の業績予想が分かれる。原材料高騰などの逆風を販売価格の上昇で補えるかも収益を左右しそうだ。
工作機械主要20社の24年3月期(2社は23年12月期)の業績予想は、売上高を公表している18社のうち13社が増収、営業利益を公表している14社のうち7社が増益を見込む。
オークマは24年3月期の売上高と当期利益が2期連続で過去最高を更新すると予想。前期に過去最高まで膨らんだ受注残高の消化が業績を支える見込みだ。家城淳社長は好調な業績や受注の背景に「精度が安定し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に必要な省エネルギーの機械がヒットした」と解説する。
23年1―3月期の受注が中国を含むほぼ全地域で前四半期(22年10―12月期)比で増加したDMG森精機。森雅彦社長は「5月の半ばくらいまでの受注で、各工場の12月末までの生産能力は完全に埋まった」とし、23年12月期に増収増益を見込む事業計画の達成確度が高まったと見る。5軸・複合加工機による工程集約や自動化の提案が浸透し、機械の受注平均単価も伸長。購入部材価格の上昇を価格転嫁で吸収し、販売粗利益の拡大などが収益を押し上げると予想する。
24年3月期に工作機械事業の売上高で微増を見込むジェイテクトは、営業利益では2ケタを超える大幅増を予想。同社幹部は「原価低減に加え、インフレに対する売価転嫁を織り込んだ」とした。シチズン時計は、子会社のシチズンマシナリー(長野県御代田町)で24年3月期に売上高が3期連続で過去最高を更新する見通し。
一方、牧野フライス製作所は24年3月期に減収営業減益を予想。上期(23年4―9月期)の受注減と為替の円高想定に伴う換算額の減少を反映した。永野敏之専務取締役は「23年4―6月期に受注が底を打ち、下期にかけて中国は電気自動車(EV)、米国は航空機、国内は半導体製造装置向けなどの増加を見込む」とした。
中国向けの売上高が約7割を占めるツガミは23年4―9月期の売上高を前年同期比5・1%減の455億円と予想。同社幹部は「下期も上期と同水準の売上高を想定している」と慎重な見通しを示した。