工作機械受注、5月3.4%増 外需好調、米中がけん引
日本工作機械工業会(日工会)が発表した5月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比3・4%増の1287億1800万円と、8カ月連続で増加した。アジアや北米を中心に外需が伸び、内需の落ち込みを補った。日工会ではトランプ米政権の関税措置について「4月以降、米国内や各地域で設備投資停滞への警戒感が広くうかがえるが、5月の受注で目立った影響は見受けられない」(事務局)とした。
外需は8カ月連続で増加。主要地域別では、中国が前年同月比10・6%増と14カ月連続で増加し、3カ月連続で300億円を超えた。業種別では一般機械向けが同5・6%増の104億円、自動車向けが同30・2%増の113億円とけん引した。日工会は有力完成車メーカーによる設備投資が継続し、「中国政府による設備更新や消費財の買い替えを促す政策も投資を下支えしている」(事務局)とみる。
北米は米国が同22・8%増の289億円と4カ月連続で増加し、2カ月連続で250億円を超えた。日工会では「北米は全体傾向として引き合いや商談は先細っておらず、車や航空・宇宙関連などで今後もまとまった規模の受注が見込まれる」(同)と見通す。
欧州は2カ月ぶりに150億円台を回復した。イタリアが22カ月ぶりに30億円を超え、ドイツは18カ月ぶりに増加。日工会は「24年後半に大きく落ち込んだ欧州連合(EU)圏での受注状況が徐々に改善している」(事務局)と受け止める。内需は2カ月連続で減少し、「中小企業では補助金の採択まで発注を控える様子が感じられる」(同)という。
日工会が6月上旬に実施した会員企業アンケートによると、7―9月期の受注が4―6月期と比べ「増加する」と答えた企業の割合から「減少する」と答えた企業の割合を差し引いた判断指数(DI)はマイナス2・8で、3月上旬の前回調査比で1・3ポイント改善した。日工会ではDI値の2四半期続けての改善に、「年後半の受注増加が期待される」(同)との見方を示す。