工作機械、再生エネ活用加速 多様な手法で脱炭素
工作機械業界で再生可能エネルギー活用の動きが加速している。ソディックや牧野フライス製作所は太陽光発電設備の導入を拡大し、DMG森精機はバイオマス発電関連設備の稼働を拡充。アマダは全電力を再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」に加盟した。各社は多様な手法で持続可能な事業基盤を構築し、環境負荷低減に貢献する。
太陽光発電ではソディックが加賀事業所の食品機械の新工場で、発電容量444キロワットの設備を5月中に稼働する。これまで導入してきた設備を含め同事業所で年間約250万キロワット時の発電量を確保し、同約1096トンの二酸化炭素(CO2)排出削減効果を見込む。同社は静岡や宮城県の営業拠点などでも太陽光発電設備を稼働しており、「海外拠点でも導入を拡充していく」としている。
牧野フライス製作所は2024年度に富士勝山事業所で太陽光発電設備の追加導入を計画し、国内の発電容量を計約3500キロワットに拡大する。海外では中国で25年度までに太陽光発電設備の発電容量を5000キロワット以上に引き上げるほか、ベトナムで25年に同1000キロワットの太陽光発電設備の稼働も予定する。
木質チップを燃料とするバイオマス発電を活用するのがDMG森精機。伊賀事業所に木質バイオマスガス化熱電併給設備を導入し、塗装工場の動力などに使う電力の約25%を賄うほか、洗浄液の温度管理や燃料チップの乾燥に温水を使用する。
このほど同設備のガス化炉でメンテナンスフリーで連続稼働できる時間を拡大し、年間稼働率を従来の65%から80%以上に高めた。同社は伊賀や奈良の事業所で太陽光発電設備の大規模導入も進めており、25年までに各事業所で年間電力需要量の約30%を賄う計画。
アマダは国内の工作機械メーカーで初めてRE100に加盟し、国内外でCO2排出量削減の取り組みを加速している。国内では伊勢原事業所など主要拠点を中心に太陽光発電設備の導入を広げ、化石燃料由来でないことを示す「非化石証明」付きの電力への切り替えなどで22年度に全使用電力の再生エネ化を達成した。
25年度までの3カ年中期経営計画では国内外の環境活動に約100億円を投じ、「事業所と製造の環境対策や製造効率の改善などを進める」方針だ。