和多屋、ECサイトに“少数派”向け商材充実
和多屋は、工作機械・切削工具など工場向け製品を扱う商社。今井社長は「利益を上げ、その利益を基に新しい事業に挑戦していくことが大事だ」と強調する。2023年7月には本社事務所を改装、新たに接客用スペースを設置し、メーカーや代理店、顧客に対応する場を整えた。新しい本社事務所などを活用して、商品・会社について日々、会員制交流サイト(SNS)に投稿し情報発信している。
同時期に新たな試みとして電子商取引(EC)サイトを立ち上げた。サイト名は「和TOOL(ワツール)」。社名にちなんだのに加え「人の和」を大切にしたいとの思いから名付けた。立ち上げから約5カ月が経過、現在は季節商材やオリジナル工具など約380アイテムを扱う。
岩澤悟ECチーム統括は「初年度は需要調査に重点を置いているが、当初想定した以上に評判がよい。普段の営業活動では絶対に手の届かなかった企業に購入してもらえることができた」と胸を張る。今後ECサイトでは女性用や左利きの作業者向けなど、工場内での少数派に向けた製品や特殊品を充実させ、差別化を図っていく。
ECサイトは営業担当者の意識も変えた。営業担当者が顧客との会話で「売れるかもしれない」と感じた製品を、サイトに掲載するよう提案が増えた。「感性が磨かれ、意識向上に寄与している」という。
同社では7月、福島県富岡町に福島事業所を開設した。岩澤ECチーム統括は福島事業所所長も務めており、「福島での営業を通じて本社では気付けなかった顧客ニーズをつかめるようになった」と話す。ECサイトに「法令・規制対策品」の項目を設けるなど、地域ニーズの反映に役立っている。
さらに、自社製品のモノづくりに挑戦している町工場の製品を取り上げ、販売を支援していく。岩澤ECチーム統括は「新しい販売チャンネルの確立で、既存顧客の製品も取り上げられる。顧客との『縁や和』をさらに大切にしていきたい」と力を込める。