金属技研、サンドビック系粉末冶金加工の欧社買収 HIP技術で相互補完
金属技研は、スウェーデン・サンドビックグループの粉末冶金加工会社を買収する。両社は高圧で粉末金属を焼結する熱間等方圧加圧(HIP)技術を持つ。得意の製品寸法や地域、業界が異なるために補完関係が成り立つと判断、買収を決めた。サンドビック系は欧米のオイル・ガス業界向けのパイプや継ぎ手が主力。金属技研は同分野で未開拓の中国などに横展開する。4月に全株式を取得する。
金属技研が買収するのは、スウェーデンのサンドビック・パウダー・ソリューションズ(SPS)。金属加工中堅が欧州大手グループの同業を買収するのは珍しい。金属技研はSPSが受託した加工の一部を請け負うなど取引関係があり、SPSの高精度加工を評価していた。5年後にSPSの売上高を現在比約3倍の25億円に伸ばす。買収額は明らかにしていない。
金属技研はHIP、熱処理、機械加工による航空機のエンジン部品製造などを手がけている。SPSは欧米での海底油田のパイプや継ぎ手製造に強い。買収を機に、これまでSPSが手薄だった中国などアジアの開拓を進める。また、SPSの販路を活用し、金属技研の既存事業の欧州開拓を本格化する。
金属技研は1960年に熱処理会社として創業し、現在の売上高は111億円。群馬県や茨城県、千葉県、中国などに工場を持つ。従業員数は570人。サンドビックグループは、切削工具、金属材料、鉱山機械などの世界大手。
サンドビックグループ傘下のSPSは、粉末冶金製品の製造・販売を手がけ、18年12月期の売上高は約9億円、従業員数は32人。