ファナック、小型機新機種を開発 1台で切削・旋削
ファナックは小型切削加工機「ロボドリル」に簡易的な旋削機能などを追加した機種を開発し、9月に出荷を始める。電気自動車(EV)シフトが進む自動車業界ではアルミニウム部品の加工需要などが増加する一方、製品サイクルの短期化で多品種少量生産ニーズの拡大が見込まれる。複数の加工工程に対応し、EV部品など新たな需要を取り込む。
新機種「α―D28LiB5ADV Plus Y500」は、テーブルのY軸のストロークを従来機種比100ミリメートル増の500ミリメートルに拡張した。収納できる工具本数も同7本増の28本に拡大。ダイレクトドライブモーターを採用した回転テーブルも搭載し、旋削加工にも対応した。
またZ軸の移動速度を高めるなど生産性を向上。加工精度や加工時間重視といった各モードに応じて各種制御パラメーターの設定を最適化する機能を大幅に改良した。
EVではアルミ製のインバーターやモーターケースなどの加工需要が増加し、加工対象物(ワーク)も複雑化している。新機種ではテーブルの拡張で部品の大型化などに対応。旋削加工機能も設けることで複数工程を1台でこなせる。
EVは内燃機関(エンジン)車と比べ商品サイクルが短く、生産量も少ないとされる。部品単位のライフサイクルが長いエンジン車では、切削や旋削などの加工工程を細分化して量産効果を優先的に追求していた。EVでは加工工程を集約し、多様な加工に対応できる汎用性が求められている。