IHI、売上高1兆円を30年代前半に前倒し 民間航空機エンジン・防衛事業
IHIは民間航空機エンジンと防衛事業で売上高1兆円を達成する目標時期を2030年代前半に前倒しする。従来は宇宙を含む3事業で40年度の達成を目指していた。民間航空機エンジンでは整備や部品の修理を含めたアフター市場を中心に旺盛な需要が見込まれ、防衛では自衛隊向け航空機エンジンなどで政府の防衛予算増額の追い風を受ける。28年度までに拠点の拡充や研究開発などに3000億円超を投じて成長の加速につなげる。
IHIは航空各社が保有機の運用期間を延長し、整備需要が広がることが目標時期の前倒しに寄与するとみている。コロナ禍後の世界的な旅客輸送需要の高まりで民間機の受注が拡大する一方、生産の混乱などで機体の納入が遅れていることが背景にある。
民間航空機エンジンの整備需要の伸びを踏まえ、30年代前半までに鶴ケ島工場(埼玉県鶴ケ島市)で整備棟の拡張やトレーニング棟の新設を決めた。整備能力を現状比約4倍の年400台規模まで引き上げて対応する。
同工場ではエンジン部品の修理棟も新設し、27年の稼働を予定する。IHIは素材を含めたエンジンの国際共同開発への参画などを通じ、独自技術を磨いてきた。こうした知見も生かして部品の修理技術の開発を進め、航空会社などの整備拠点で対応しきれない高度な部品の修理需要を取り込む。
防衛事業では自衛隊向け航空機エンジンの製造や整備を手がける瑞穂工場(東京都瑞穂町)で、23年から戦闘機「F―35」のエンジン「F135」で他国の整備も手がけるリージョナル・デポとしての事業も開始した。一方、民間エンジンでは21年の鶴ケ島工場の稼働を機に整備事業を同工場に移管し、部品の修理などを継続している。瑞穂工場は今後の防衛事業拡大で手狭になることが見込まれるため、民間エンジン事業を鶴ケ島工場に順次集約。防衛関連需要への対応を強化して事業の拡大につなげる。
IHIは24年10月に航空・宇宙・防衛事業の売上高を30年度に25年度比23%増の8000億円、40年度に同53%増の1兆円にする目標を掲げていた。
