金型を高品質仕上げ ソディック、金属積層向け粉末材投入
ソディックは金属積層造形(AM)による変形を抑え、切削加工性を高めたAM用粉末材を月内に投入する。
超強力鋼の粉末で、残留応力を抑える独自の造形方法に合わせて組成を調整。射出成形用の金型に必要な耐摩耗性などを維持しつつ、造形後の硬度を切削による仕上げ加工で精度を出しやすい硬さに抑えた。切削機能を備えた同社製金属AM機と併せて提案し、設計の自由度が高い高精度な金型を効率的に生産する需要を取り込む。
射出成形金型向けに開発したAM用の粉末素材「HYPER21」は、レアメタル(希少金属)のコバルトを含まないマルエージング鋼をベースとした粉末で、国内生産により品質管理を含め安定供給する。価格は個別見積もりで対応する。
ソディックは敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射して溶融し、一層ずつ造形するパウダーベッド方式の金属AM機で、造形時に機内で定期的に熱処理をすることで対象物(ワーク)の残留応力を取り除く手法「SRT工法」を開発している。
新素材では組成をSRT工法に対応しやすくする一方、造形後の硬さを切削加工しやすい硬度「HRC40」に調整。金型の金属AMで課題だった残留応力による反りや亀裂を抑えつつ、切削加工で高精度な仕上がりを実現できるようにした。
同社は切削加工機能を備えたパウダーベッド方式の金属AM機「OPMシリーズ」を発売し、複雑な形状の冷却水管を組み込んだ金型の造形などを後押ししてきた。同金属AM機とHYPER21を併せて提案することで、工程集約による金型の高い生産性と高精度な仕上がりを両立し、付加価値の高い金型の提供に貢献する。