京セラ、長寿命旋削チップ投入 CBN母材に独自被膜
京セラは自動車のギアやシャフトなどに使われる高硬度材の加工に適した長寿命の旋削加工用チップ「KBN020」を発売開始した。立方晶窒化ホウ素(CBN)を多く含んだ母材に、新開発のコーティングを成膜。他社製品に比べて耐摩耗性は2割、耐欠損性は5割、それぞれ向上させた。長期で安定加工できる旋削チップはコスト削減につながる点を顧客に提案し、拡販につなげる。
外径加工に適したネガチップを57型番、内径加工に適したポジチップは69型番を用意した。希望小売価格は消費税抜きで7150―1万560円。初年度に1億円の売上高を目指す。
京セラが発売するKBN020は、ベアリングなど多様な産業で使用される高硬度材の加工に対応する。
チップ母材として高含有CBNを高純度の窒化チタン(TiN)バインダーで焼結することで強度を向上。高い耐欠損性を実現した。ここに耐摩耗性に優れた窒化チタンアルミニウム(TiAlN)を主成分とする層と、チップ母材との密着性を向上させる層で構成するコーティングを成膜。耐欠損性と耐摩耗性を両立させた。
同社によると、条件をそろえてクラッチの加工で他社製品とチップ寿命を比較した結果、KBN020は他社製品より寿命が6割長かったという。
焼き入れ後の仕上げ加工などでは、高性能な旋削チップを利用することが多い。チップの寿命が短いと顧客にとってコスト増につながる。