京セラ、鋼旋削チップに新材種 被膜の均一性高め工具長寿命化
京セラは旋削チップを長寿命化する化学気相成長(CVD)コーティングの新材種を開発し、発売開始した。成膜するアルミナの結晶方位の均一性(配向度)を業界最高水準に高め、他社製品と比べ耐摩耗性を約5割高めた。スムーズな切りくず処理を持続する長寿命仕様の旋削チップ「PMGブレーカ」も発売。工具の長寿命化に貢献する新製品の投入により、コスト削減と環境負荷低減のニーズに応える。
CVDコーティングの新材種のうち、連続から強断続まで幅広い加工に対応する汎用性の高い材種「CA125P」を。高能率加工用で連続から軽断続の加工に対応する材種「同115P」を6月に発売する。自動車や産業機械など幅広い産業で使われる鋼加工用旋削チップ向け。型番数はともに502型番。消費税抜きの希望小売価格は610―2420円。初年度15億円の売上高を目指す。
新開発のコーティングは耐摩耗性を備えた高配向アルミナ膜と、耐欠損性を備えた炭窒化チタン(TiCN)膜で構成。同アルミナ膜は独自の結晶制御技術により結晶方位の配向度を高め、耐摩耗性を高めた。切りくずの擦過によって発生するチップ上のすくい面のクレーター摩耗を抑制。工具の長寿命・安定加工を実現する。
PMGブレーカは低抵抗設計で、チップ上のすくい面温度の上昇を抑えるのが特徴。切りくずを分断・制御するために、すくい面に設けた溝や突起の摩擦を抑制し、切りくず形状の変化も抑えた。熱などによる母材の塑性変形リスクを低減し、コーティングの剝離を防止する。