京セラ、切削チップに新材種 被膜多層積層で工具長寿命化
京セラはミーリング用切削チップを長寿命化する物理気相成長(PVD)コーティングの新材種を開発した。
耐摩耗性や耐熱性に優れ特殊ナノ積層化した2種類の被膜を交互に多層積層し、被膜硬度と靭(じん)性を向上。耐チッピング性も高め、同社従来品比約2倍の加工寿命を実現した。新材種を採用し、耐欠損性と低抵抗を両立したエンドミルも同日発売する。コストと環境負荷の低減につながる長寿命工具の需要増に応える。
新材種「PR18シリーズ」は、自動車などの幅広い加工現場で使用される鋼やステンレス鋼、鋳鉄加工用のミーリング向け。初年度10億円の売上高を目指す。
PVDコーティングは耐摩耗性に優れたアルミニウムクロム(AlCr)系の被膜層と、耐熱性に優れたアルミニウムチタン(AlTi)系の被膜層で構成する。それぞれナノメートルレベル(ナノは10億分の1)で積層した両層を、さらに交互に多層積層したのが特徴だ。被膜のクラック(割れ)進展抑制と内部応力の適正化によって、高い耐チッピング性も実現した。
他にも発売した、縦置きエンドミル「MA90」は、大きな逃げ角で摩耗を抑制した特殊さらい刃形状と独自の切れ刃設計により、耐欠損性を高めつつ低抵抗と両立させた。
これにより高品質、長寿命加工を実現。直線と円弧を組み合わせた外周研磨仕様で、仕上げ面の高品質化と優れた壁面精度を持続する。
MA90はチップが85型番あり、消費税抜きの希望小売価格は2310―2640円。ホルダーは77型番あり、同3万3300―13万2000円。初年度5億円の売上高を目指す。