KTC、航空機MRO向け工具参入 IoT対応製品投入
KTCは航空機の整備・改修・オーバーホール(MRO)向け工具市場に参入する。2024年中の製品化を予定する、位置情報を管理できるIoT(モノのインターネット)対応工具を軸に市場を開拓し、27年度までに同市場で売上高10数億円を目指す。IoT対応工具は、工具の紛失防止や使用履歴管理などを手軽に高精度で実現するのが特徴。安全運航のため厳格な工具管理が求められる航空機業界で、高い需要を見込む。
KTCが年内に発売予定のIoT対応工具は、シンガポールのゼラファイと連携し開発を進めてきたもの。ゼラファイは産業用に無線識別(RFID)タグなどを手がけており、20年9月にKTCと戦略的パートナー契約を結んだ。
KTCではゼラファイの技術を組み込んだ製品を、ソケットやラチェット、ハンマー、ドライバーなど幅広いラインアップで順次展開していく。
IoT対応工具は全方位通信が可能で、最大3メートル離れた場所からでも通信可能。そのため、工具の位置情報を従来より高精度で手軽に確認することができる。
高い安全性が求められる航空機のMRO現場では、機体内での工具置き忘れや紛失などを防ぐため、厳密な管理が欠かせない。IoT対応工具の活用により現場負担を最小限に抑えながら、安全性向上に向けた作業を効率化できる。
KTCの田中滋社長は「(航空機のMRO現場)と同様か、それ以上の安全性が求められる重要保安設備などでも需要が見込める」と話す。