中堅・中小に自動化・デジタル化の波を エンシュウ、MC内蔵型搬送装置で中小開拓
エンシュウはマシニングセンター(MC)内蔵型搬送装置「E-Loader(イーローダー)」の展開に力を入れている。イーローダーは自動化や省スペース化などに寄与する点が特徴だ。自動車業界向け工作機械で培ってきた高度な技術力や信頼性といった強みを前面に出し、中堅・中小企業にも幅広く訴求していく。
「中堅・中小企業に自動化やデジタル化の波を起こしたい」-。鈴木敦士副社長はこう意気込む。エンシュウは長年、工作機械の製造・販売に加え、自動車関連企業向けに生産ラインを構築するラインビルダーを手がけてきた。ただ、自動車業界は電動化など変革期の渦中にあり、自動車以外の新たな需要への対応も重要と捉える。
そこで、工作機械の量産加工ラインなどの知見を生かし、開発したのがイーローダーだ。同製品はMCから加工材料などを自動で搬送でき、円滑に次工程に進めるほか、外部に別の搬送装置を取り付ける場合と比べ設置スペースも大幅に減らせるといった特徴を持つ。稼働情報の収集などデジタル化にも寄与する。
「プログラミングが必要なロボットに比べ、手軽にさまざまな設定ができるなど手間がかからない。導入コストも抑えられる」と鈴木副社長。引き合いは好調という。
エンシュウは工作機械事業とともに、2輪車・4輪車向け部品の加工も手がける。2021年4月には営業部門を自動車関連の「第1営業部」と非自動車分野の「第2営業部」に分けた。工作機械事業と連携しつつ、より広い顧客ニーズに対応する体制を整備した。
エンシュウは26年3月期までの5カ年の中期経営計画で、売上高500億円(23年3月期見通しは300億円)を目指す。計画の達成には得意の自動車業界だけでなく、中堅・中小企業など顧客のすそ野を広げることが不可欠。その先導役となるのがイーローダーだ。同製品の育成にさらに力を入れ、中長期的な成長曲線を確実に描く考えだ。